平成12年2月3日

『インターネットと伝統仏教』報告

 2月1日、京都の仏大四条センターでの浄土宗教化情報センター21の会主催の『インターネットと伝統仏教』というシンポジウムにゲストで呼ばれました。コーディネータは石井研士(國學院大學助教授)、パネリストは竹内純照(天台宗真如堂祥源坊住職)、今岡達雄(浄土宗善照寺住職)とボクの3人です。

 話の内容については、教化情報センターから出版されると思いますので、そっちをご覧いただくとして‥‥といってもそんなに面白くならなかったんだけど‥‥ボクの総括をまとめたいと思います。

壇上:石井・竹内・今岡・筑後

 まず主催者や石井研士先生はおそらくほとんどインターネットをご存知ないんだと思うんです。使っておられたとしても自分で発信したことがないから、何にどう使えることができるのかということが理解できていないのではないかと思われました。

 これについては、企業でも同じ発想をする人がおられると思いますが、インターネットと言うだけで両極端に走るんだと思うんです。一つは積極派で「素晴らしい道具で、世界を変える力がある」派と、今ひとつは消極派で「何ができるもんか」というグループです。もっと冷静に判断をすることはできんのかと言いたいところですが、マ、知らないということはこういうもんなんでしょう。

 このために、シンポジウムはほとんどすれ違い状態になってしまったきらいがあります。パネリスト対石井先生、対21の会、対観客の思いはほとんどすれ違っていたといっても良いでしょう。

 

 このすれ違いはどこからくるのでしょう。バーチャル対リアルの問題なのか‥‥と言われる人もいますが、そうじゃないでしょう。

 インターネットの波及効果は、みんなが望んでいるような直接的な形では起こらないんでしょう。ジワジワと生じる効果なのです。一つには情報をみんなが求めるという効果があり、一つには社会全体を変える効果があるが、具体的に何かを変えるという効果は薄い。

 もちろん、新しいメディアですから、そのメディアを使うためのツールは売れるでしょう。YAHOOがそうですし、マイクロソフトがそうです。

 でも、じゃあ具体的にそれ以外の企業がインターネットで儲かったか、というとたぶんそんな話はないと思うんです。一種の広報手段としてインターネットが使われただけだと思います。

 この時に、また二つの両極端が生じます。だったら意味がないと考える人と、広報手段として積極的に利用しなければ時代から取り残されるという人です。

 どっちも違うんじゃないかと思うんです。インターネットでの広報は絶対にしなくてはならないことなのです。最低限のことだと言えるでしょう。

 

 インターネットは新しい情報空間なのです。しかもテレビやラジオのように誰かによって作られ、取捨選択された情報なのではなく、自分たちが積極的に発信し、自分たちが取捨選択することのできるメディアなのです。その意味で、テレビやラジオよりも信用ができるものだと思っているのです。だからこそインターネットはどうしても発信しなくてはならないメディアであり、発信しないということは発信する内容がないか、何か大きなことを隠しているのかと思われるのです。だからこそインターネットでの発信が必要だといわれているわけです。

 だからといって、インターネットで発信しても何か効果があるかどうか‥‥それはわかりません。わからなくてもやらなくてはならないことだからやっているのであって、過剰な期待をしてもあまり意味がないのではないかと思うのです。


 さて、もう一つのすれ違いがありました。それは浄土宗と浄土真宗の風土の違いです。

 どうも、浄土宗には檀家をお得意さん程度にしか認識していないのではないかと思われました。真宗での門徒は、一種のコミュニティを形成していると言えます。門徒に対するサービスということがボクの基調なのですが、その話は驚かれるだけで、そのような風土がないようでした。

 しかし、伝統仏教が何か新しいことをしようとした場合、支援グループがないではどうしようもないでしょう。その支援グループも作らないということは、すでにインターネットをどう使うという以前の話になると思いました。この辺りについては、浄土宗の組織がどのようになっているのか詳しくないので分かりませんでした。


 最後のすれ違い。観客やマスコミは、インターネットで寺がどう変わるのかを期待してきていたようでした。その意味では、期待に反してしまったと思います。申し訳ない。

 

 現在インターネットで発信している寺院は、インターネットが好きな連中か、寺院の活動を実際に行っている連中か、暇で仕方がない連中です。だからこそ、すでに寺院の活動に対する問題点を理解している人ばかりだと思われます。そういう坊主だから、インターネットにも目をつけましたし、積極的に発信ができたのです。

 ところが、寺に期待することもない坊主がインターネットで変わることを期待されても、結局、逆にそんな連中はインターネットであろうが何であろうがやらんのでしょう。だからこそ、逆に我々の脚を引っ張るのは止めて欲しいのです。

 

 そして、もし教団が彼らを巻き込みたいのなら、まずゴルフの会をやるなど彼らの土俵で何らかのアクションを起こすべきなのです。インターネットではありません。寺院は、さまざまな人々に対するアクションを起こす必要があるのです。だから、ゴルフが悪いのではなく、ゴルフをする人たちにも坊主の居ることを知らしめるという点では、ゴルフをすることが悪いわけではないのです。ところが、現在はそういうアクションにはなっていない。勿体無いことです。


 さまざまなすれ違いはありましたが、セッションは終わりました。まだしゃべりたいことが多かったのですが、残念ながらすべての面でフォローできませんでした。もう少し別の切り口でできれば、エキサイティングなシンポジウムになったかもしれません。その部分が少し残念でした。

 それにつけても浄土宗情報教化センター21の会の秋田さんはお疲れ様でした。企画にあったシンポジウムにできたかどうか‥‥始まったらパネリストの責任ですナ。ごめんなさい。首謀者:秋田光彦さん